http://www.youtube.com/watch?v=kHs-6xnMEdE
Money (1979/TV Live)


Flying Lizards(フライング・リザーズ)は、いかにもユニット名ではあるが、実際には、David Cunningham(デビッド・カニンガム)の一人ユニット。多くの曲に女性ボーカルが入っていて、彼女も固定メンバーであるといえるのだろうが、基本的にはデビッド・カニンガムのソロユニットという認識の方が強い。
1979年に出したファーストアルバム「Flying Lizards - ミュージック・ファクトリー」に収録されている「Money」がヒットして、結構な知名度を得ることになるが、そのチープさと実験性には多くの人々が驚いたものだった。Flying Lizardsは、この「Money」もそうだが(モータウンの雄バレット・ストロングの1959年の大ヒット・ナンバーで、ビートルズなど多くのミュージシャンにカバーされている)、サマータイム・ブルースなどオールド・グッド・ナンバーを多くカバーして、そのすべての原曲をメチャクチャにしている。

なぜ、ここまでチープなのかという理由は、当時、高校生だった私はこれが単に彼の考えであり、戦略であると思っていたのだが、実際には、要するに「デビッド・カニンガムは楽器を弾けなかったので、箱を叩いたり楽器から適当に出した音を多重録音で録音して曲を作っていった」というのが真相のようだ。これが冗談ではなく、「多分そんなところだろうな」というのはこのアルバムを聴けばわかる。
後年、デビッド・カニンガムは楽器も弾けるようになったようで、1981年の「Fourth Wall」というフルアルバムの頃には、かなり音楽としてまともな曲が多くなってくる。このアルバムはポップな感じが強くて結構好きだったが、この頃にはFlying Lizardsのブームは終わっていたようだ。

上にリンクしたYouTubeのビデオはヒット曲「Money」(マネー)のTVライブだが、正確にはライブではない。歌も演奏もすべて口パクだ。しかも、曲と演奏が全然合っていない上に、特にパフォーマンスも見せていないという素人バンドのような姿を見せてくれている。(Moneyはロングバージョンやシングルバージョンなどいろいろあるが、これはシングルバージョンの短い方)。ドラムを叩いている人がデビッド・カニンガム。


[回想]私がFlying Lizardsを知ったのは1980年で、当時、私は高校生だったのだが、FMの坂本龍一がパーソナリティを務めていたラジオ番組で、坂本龍一が「なんでレッド・ツェッペリンなんか聴くんだろうね。フライング・リザーズの方がいいじゃん」み たいなことを言っていたことがあり、当時、レッド・ツェッペリンのファンであった私は「何じゃそりゃあ!」と、怒りと共に買ってみたのが1stだった。と てもいいアルバムだった。結局、Led ZeppelinとFlyng Lizardsを同時に聴くような生活になった。



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ミュージック・ファクトリー

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YouTubeには他にプロモの「Dizzy Miss Lizzie」がある。これはMoneyの次のアルバムの曲だが、相変わらず適当だ。何が適当かというと、デビッド・カニンガムはピアノを弾けない。