▲1983年 横浜・寿町でのライブ。この時、横山氏はステージ上から観客に投げつけて挑発していた。


この大全では日本のハードコアバンクについてあまり挙げていない。理由は私が詳しくないためだが、ギズムに関しては知る知らないは関係なく載せざるを得ないだろう。日本のハードコアパンクの祖師であり、金字塔とも言える。

オリジナルメンバーはボーカルの横山SAKEVI(サケビ)、ギターのランディ内田、ベースのクラウディ、ドラムのマリオ。

デビューライブは1981年の東大学友会主催赤門ギグ。
その後、数々のライブをこなしていくうちに、凶暴な彼らの名前はまたたく間に知れ渡ることになり、あっという間にこのジャンルでの頂点に立つことになる。終始一貫してハードなバイオレンス路線で表現を続けていた彼らは、紛れもないその時代のスターだった。海外のハードコアバンドたちの多くが横山SAKEVIの暴力的なパフォーマンスに惹かれ、それを参考にしていたというのも、あながち都市伝説とも言えないだろう。

私は知らなかったが、2002年にアルバムを出しているらしい。その前年の2001年には、ギターのランディ内田氏が39歳という若さで亡くなっている。



●ランディ内田氏の葬式当日の様子が書かれたサイトがありました。直リンがいいのかどうかよくわからないので、
www.tky.3web.ne.jp/~tsonsd/pages/hitokoto_3.html
という形でリンクしておきます。



[ふと思い出すこと]

当時のGISMの存在感は圧倒的で、GISM=神、的な空気さえ当時は少しだけあった。たとえば、こんなことがあった。東京・高円寺の駅前にあったライブハウス(今はない)で私は友人のバンドのライブを見に行ったのだが、それはいわゆるハードコア系のギグで、たくさんのバンドが出ていた。その中のひとつのバンドがGISMのコピーをやったのだ。そして演奏が終わった後、客席後方から数人の声が飛んだ。

「おい、おまえらちょっと外に出ろや。GISMやるんだたったらそれだけの覚悟決めてんだろうな。外に来い」

私は声を飛ばした数人がライブハウスの裏手でシンナーを吸引していたのを見ていた。「厄介なやつらに捕まったもんだ」と私は思った。そして、彼らは結局、ボコボコにされてしまった。もちろん、この話とGISMは何の関係もない。GISMの存在の大きさを書きたかったのだ。

ちなみに、横山SAKEVI氏とは話したことがあるが、確かに怖い人ではあるが、かなり理性的な頭のいい人だ。